こんにちは、リハママです。
今日は言語聴覚士らしく、子どもの言葉の発達について言語の機能という観点から書いていきます。
言葉が達者になれば全て解決?
生まれてから毎日お家の中で過ごしていた赤ちゃんも、大きくなるに従って段々と過ごす場所や関わる人が広がっていきます。
支援センターや児童館に遊びに行ったり、保育園や幼稚園などで集団生活が始まると遅かれ早かれ通る道なのがお友達トラブルですね。
・思い通りにならないときの激しい癇癪
・おもちゃの取り合い
・押し合い圧し合い
・噛みつき
など、すぐに手が出る場面もよく見かけます。
お友達とうまく遊べないことが続いたり、何度言っても手が出てしまうと、親御さんも辛い気持ちになってしまいますね。
こうした時に、先生やセンターの職員さんに「今はまだ気持ちをうまく伝えられないから手が出やすい年齢です。言葉が上手くなれば変わってきますよ」と言われた経験のある方も多いと思います。
言葉が上手くないから手が出る。
確かにこの理屈は広く世間に認知され、なんとなく納得できるものかもしれません。
まだ上手く喋れないから、仕方ないよね。。。って。
でも、これでは不十分。
実は言葉には知られざる機能があるのです。
2.考える道具としての言葉
3.行動調整の手段としての言葉
3つの言語の機能を順にご説明します。
コミュニケーション、伝達手段としての言葉
まず第一に、皆さんが思い浮かべる「ことば」はつまるところ「コミュニケーションの道具」としての役割を担うものではないでしょうか。
上に書いた「自分の気持ちを説明できるようになれば・・・」に当てはまりますね。
思考、考える道具としての言葉
二つ目の機能、それが思考のため(考える道具)としての言葉。
言語は言葉が記号として体系化されたものです。
私たちは身につけた言葉を材料に日常レベル~専門的な学問まで、様々な事柄へ思考を巡らせています。
遊びの中で
「よーし、みんなでにげるんだ!それーー」と走ったり、
「こいしでダムをつくろう」と集めたり、
「きれいなおはな!ママにみせたらよろこぶだろうな」と大事に持ち帰ったり、
大人だって
「えーっと、、卵と牛乳と、、、あとは小麦粉!」と買い物したり、
「・・・なにしにきたんだっけ・・・?」と部屋を出たり、
「あれー?保険証がないよー」と探したり、、、
色々言葉を使って考えていますよね(必ずしも声に出す必要はありません。)。
逆に頭の中で言葉を全く使わずに考えるって・・・?
食材がなければ料理が作れないように、言葉を用いずに複雑な思考をすることは大変な困難でしょう。
(その昔の臨床で、言語以外の素晴らしい認知能力を駆使して複雑な事柄に対応している幼児に出会ったことがあります。稀ですがそんな例もあります。)
行動制御、行動調整の手段としての言葉
三つ目の機能は、行動制御(調整)の役割を担います。
2番目の思考の言葉ともつながります。
「さて!やるぞ」と始めたり「よーい、どん」で走ったり(行動の開始)、「おーわりっ」とやめたり(停止)
「あたまにきたけど、、、たたくのはだめだっていつもママがいってるな」とか。
おやつがほしいけれど「3時になったらね」「お家に帰ったらね」で愚図らずに待っていられたり。
「さっきはぼくのばんだったから、いまはあのこのばん」で納得できたり。
大人なら
「明日早いから今日のうちに準備しとこう」
「食べたいけれど・・・太るから替え玉は諦めよう」と我慢したり。
戦国武将の毛利元就公は父や兄の死から酒の害について考え、自身は飲まない選択をされましたね。
言語の3つの機能、どれも大切
いかがでしたでしょうか。
子ども同士で遊ぶときに、「コミュニケーション」だけでなく「思考」も「行動制御」の言葉の発達もとても大切であることがお分かりいただけたかと思います。
この3つのどれかでも失われたり育っていなかったりすると、色々な困難が待ち受けるのはご想像の通りです。
「言葉が上手になれば」の中に、そういえば他にもあったな、と思い起こしていただけたら嬉しいです。