前回は、田中茂樹先生の著書「去られるためにそこにいる」から、家庭で子どもがリラックスできるよう、親に出来ることとして小言を控えていくことを学びました。
そうすると親には怒り、不安、淋しさ、罪悪感などの様々な感情が生じて悩んだり、子どものたくましさに気が付いたりするようになるそうです。また、 自分自身の親との間にあった問題に初めて気が付くことも多いのだと書かれていました。
「自分が子どもだった頃の育てられ方(あの時お母さんは〇〇してくれても良かったのに・・・等)」について思い出された方の事例も載っています。
私もふと思い出したことがあったので、この記事では【親(私)に起きた変化、心に去来したもの】として記録しておこうと思います。
小言を控えること・優しく接すること
小言を控えていくことに関して、何もこれは子どものことで悩んでいる親御さんだけに当てはまる話ではありません。
田中先生の別の著書「子どもを信じること」という本の中にも、
・病気じゃなくても、不登校じゃなくても、そのような状態の人に接するときのように優しくして良いのだ
・子どもの元気がなくならない様に、はじめから優しく接して大丈夫なのだ
ということが書かれています。
・甘やかしとの境界線が難しいな
・大人になった時に困るのではないか?
などという心配が浮かぶかもしれません。
でも、これまでに仕事やプライベートで沢山の子どもたち・そのご家族をご覧になってきた田中先生の言葉には重みがあります。
ブラック病院での勤務経験
「優しく接しても大丈夫」
この言葉を読んで思い出したのは、新人時代。
私はブラック病院に勤務していました。
就職して病院で働く先生たち(複数のベテランたち)を見て、
「患者さんには極端に優しいけれど、他のヒトには異常に冷たいなあ。」と違和感を持ったものです。
他のヒトっていうのは、
・健康そうな人
・入院していない人
・部下やその他スタッフ
・学生
・・・
などなど入院患者さん・外来患者さん以外の人。
なんていうか、その態度が別人か?と思うほどのギャップがね、あるのですよ。
裏表ありまくり!キョーレツです。苦笑
いつもケンカ腰で、1つ質問すると10くらいの文句が返ってくる。
常に嫌味とセット。
小言なんてレベルじゃなくて、フルスロットルでぶつける感じ??
全く身に覚えのないことでも決めつけて怒鳴られます。
働き方改革とかない時代なので、いつも深夜まで働いていました。
上司が帰らないから、若手も帰れない。
結果、、、多くの人が身体を壊して辞めていきました。本来は勤勉でやる気に満ちていたはずのスタッフを一体何人潰したのでしょう。
今だったら間違いなくパワハラでアウトですね。
病気の予防が大事なのに、病院で働いて病気になる。
病人には優しいのに、(実は病気になりかけているかもしれない、外見からは病気だと分かりづらい)人には辛く当たって病気にする。
自分たちの指導法の問題は棚に上げて、成果が出ないのは部下のせいにする。
なんだかなぁ・・・とずっとモヤモヤしていましたが、新卒で採用されたので「どこもこんな感じなのかな」と思っていました(世間知らずでした)。
上司のやり方に賛同できない自分がおかしいのかも、なんてね。
子どもを信じること
でも、やっぱり、病気じゃない人にも病気の人に接するように優しくして良いのですね。
子どもに幸せになってもらいたいと願うがゆえに、親は、自分がよいと思う方向に子どもを導こうとする。また、「問題だ」と自分が考える点を改善しようと、あれこれ口出しをする。
しかし、そうしなくても、いや、そうしないほうが、子どもは生き生きと自分の力を発揮して、自分で幸せになっていく。それが、心理学の知識や、自分自身の子育ての経験、そして長年行ってきたカウンセリングを通して、私が実感するようになったことである。
去られるためにそこにいる より引用
また、こうも仰っています。
子どもに厳しく接してしまいそうなときに、私はいつも、次のようなことを考えます。
もしも仮に、自分が幼かった頃、このような場面で、親からやさしく接してもらっていたら、はたして、自分は今より、ダメな大人になってしまっただろうか、それとも、幸せな人間に育っただろうか、と。
そして今、自分は、親として、そのような場面をやり直せる立場にあるのだ、と。
子どもを信じること より引用
厳しくされたお陰でより理解が深まったのか?と聞かれれば決してそんなことはないし、むしろ委縮してしまって効率が悪かったように思います。
優しく教えてもらう方が楽しく学んでいけるし、覚えも良い。
ガミガミ言われない方が自分から積極的に頑張れる。
自分の体験としても、周りを見ても、モチベーションの違いは火を見るより明らかでした。
きっと子どもだって。
「子どもを信じること」の言葉通り、もっと信じて大丈夫かもしれない。
改めて、大切に思っているならば優しく接しよう、と思います。
いずれも良い本です。