ママちゃんの自由帳

リハビリ専門医と言語聴覚士がより楽しい人生を送るために考えていることを綴ります

老人ホーム・サ高住・特老の違いとは?老人ホームを終の棲家に考える人の意外な注意点【医師の眼から見た老後と孤独対策:住居編3】

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こんにちは。回復期リハビリ病院で働くノンです。以前の記事で最期に理想の住処を手に入れるにはどうすればよいか、そして前回は理想的な老後の住まいについてお話ししました。
今日は自宅外、つまり老人ホームなどを選ばれる方についてお話します。

 

老人ホームの種類に注意

一口に老人ホームといってもいろいろなパターンがあります。もしあなたが最期を老人ホームでと考えるならば本当に最期まで老人ホームで面倒を見てもらえるかということを確認しなくてはなりません。


老人ホームには介護付き老人ホームと住居型老人ホームがあります。介護が必要になった場合、住居型老人ホームは自宅で介護を受ける方と同様、外部(老人ホームと同じ法人の場合もありますが)の介護サービスを受けることとなります。
介護付き老人ホームでも最期まで見てくれるかどうかは施設によって様々で確認が必要です。

老人ホームの費用負担を減らすには~サ高住、特老のことも知っておく

有料老人ホームにおいて一番問題になってくるのは費用(お金)です。
最終的には介護付き老人ホームの形になると思いますがお金がかかります。住んでいる場所やサービスの内容にもよりますが一月15-30万はします。

そのため一部のお金持ちを除けば長期間介護付き老人ホームで暮らすことは難しいので、介護付き老人ホームで暮らすまでの間どのような住まいで暮らすか、詳細な計画が必要です。


ちなみに僕の働いているリハビリ病院を退院していくような要介護者の場合ですと、自宅以外のところに退院される方も多いのでご参考になるかと思い書いてみます。
退院先としては介護付き老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、特別養護老人ホームとなるのですが、かかる費用は

介護付き老人ホーム≧サービス付き高齢者向け住宅>>>特別養護老人ホーム

 となります。


介護付き老人ホームは先ほど話した通り、お金を出せば原則どなたでも入所することができます。サービス付き高齢者住宅、特別養護老人ホームの場合は有料老人ホームと比べて費用が安くなります。入所するには条件がありますので説明したいと思います。

サービス付き高齢者住宅(サ高住)とは

2011年に高齢者が住み慣れた住環境で暮らし続けるために構築された地域包括ケアシステムの施策の一環として創設されました。
 基本形としては賃貸住宅のパターンで、そこに「安否確認」と「生活相談・支援(買い物・掃除など)」が加わります。

 

サ高住=賃貸住宅+「安否確認」+「生活相談・支援」

 

僕が働いているところでは身辺動作ができるけど入浴や家事(買い物や掃除など)に手助けが必要で一人暮らしの継続が困難な人、少し認知が低下して見守りが必要な人が入ることが多いです。介護度で言うと要支援ないし介護1程度の人が多いようです。


それ以上の介護が必要な場合は自宅で介護を受けられる方と同様、介護保険サービスを使って必要なサービスを受けています。常時介護や見守りが必要な方は適応にならないことが多いです。

特別養護老人ホーム(特老)とは

身辺動作にも介護が常時必要な方、介護度で言うと要介護3以上の方が入所条件になります。有料老人ホームに比べて費用は極めて安く、看取りまでしてくれるので文字通り終の棲家になりえます。デメリットとしては待機期間が数か月から数年かかることです。そのため僕の働いている病院からも直接行くことは少なく一時的に自宅退院したり、サ高住に行くケースが多いです。

老人ホーム、サ高住、特老、あなたにとって理想の住処とは

理想の住処はヒトによって、状況によって変わります。何とか身辺動作ができれば介護付き老人ホームでなく、サ高住でも間に合うかもしれません。逆に人との交流がないので認知症が悪化するかもしれません。

重度介護のときは特別養護老人ホームが安いのですが、ひょっとするとサ高住+介護サービス利用のほうが快適なのかもしれません。

同じサービスでも施設と介護サービスの組み合わせによってかかる費用は異なります。


 

そもそもサ高住、有料老人ホームの境界線も明確ではなく施設間の差も大きいです。

 

 

重要なことは自分(ないし家族)にとって必要なサービスは何かをしっかり把握することが自分にとって満足のいく老後生活が効率的に可能となるのです。

 

でもいつ老人ホームに移るかを決定するうえで、だれもが忘れがちな重要な条件がもうひとつあります。

 

老人ホームに移るタイミングを早める意外な要素とは

いつ老人ホームに移るかは介護面や金銭面が決め手になることが多いのですが、もう1つ重要な要素があります。

 

健康・金銭問題がなくとも家事を行う(気のある)人間がいなくなった時です。

 

介護保険は介護認定が下りれば、家事をやってくれるヘルパーさんなり介護士さんなりに助けてもらうこともできます。介護認定が下りなければそうしたサービスを受けることができません。


ここで問題になってくるのはあなた、ないしあなたの配偶者の家事能力です。もし奥さんがいらっしゃりすべての家事を押し付けていると、奥さんが病気になったり、病気にならなくてもやる気をそいでしまったりすると途端に立ち行かなくなります。

こうなると家事サービスをいれるか住居型老人ホームに入ることになるのですが、家事サービスにしろ住居型老人ホームにしろお金がかかります。お金が充分ある人はいいのですがそうでないと最期お金が足りなくなるかもしれません。

 

理想の最期を迎えるためお金を十分残しておきたい人は男女問わず十分に家事ができるよう努力することが大事かもしれません。

 
次回は理想の住処を手に入れるため、今の段階でどんなことを考えていかなくてはいけないかについて述べることとします。