今の自宅で最期まで生活ができますか?
こんにちは。回復期リハビリ病院で働くノンです。以前の記事で最期に理想のすみかを手に入れるにはどうすればよいか、そして最後のすみかには自宅と自宅外に分けられること、どちらを選ぶにしても準備が必要なことをお話ししました。
今日は自宅にずっと住みたい人が考えておくことを書くこととします。
老後の住居は本当に今のままでいい?
自宅にずっと住みたいあなたが最初に考えることは、最後のすみかを今の自宅にするのか、それとも引っ越しをするのかということです。
「え?」
「そりゃそうだろう。」
「なんでそんなこと聞くんだ」
「まだローンが残っているんだよ。」
おそらくマイホーム、特に一軒家を買ったあなたにとってこれは意外なことと思ったことでしょう。
実際僕が接している患者さんですが、一軒家に帰ろうとするときに問題になってくるのは広すぎるということです。
「うちはペンシルハウスだぞ。」「普通の一軒家だぞ」
年を取ってくると多かれ少なかれ活動範囲が狭くなってきます。当然家を買ったときは皆さん30-40歳代で働き盛りのころと思います。そのころですとお子さんがいらっしゃる方も多いのではないでしょうか。2階建て、3階建てでも階段の上り下りなんか苦になる人はいないでしょう。
でも今は世帯当たりの家族数がどんどん減っていて、リハビリ病院に来るような80歳代の方はほとんどが2人ないし1人で暮らすといった感じになっています。子供はとうの昔に別居しており使わない部屋がたくさんあるようです。
自慢のマイホーム・一軒家が無駄になる?
そんな中リハビリ病院から退院され、一軒家で元の生活をすることはとても大変です。
まず2階に行くことが難しくなります。
僕が働いているようなリハビリ病院では日常生活動作という、その人の生活に必要な動作を評価するのですが、まずできなくなるのがこの階段の上り下りです。そのため生活の場が1階のみになってしまいます。
これだけで家の半分が無駄になってしまいます。
さらに病気をしたり年を取ったりで体力が低下するとトイレに行くことも大変になります。さらに落ちると寝たきりになる人もいます。
「なんか気が滅入るようなことばかりいうんじゃないよ」
別に皆さんを落ち込ませることが目的ではありません。
ここで言いたいことは年を取るとどんどん活動性が低下して2階や部屋が無駄になるスペースがどんどん広くなるということです。
リハビリ病院から自宅退院するために一番重要な動作はトイレ動作です。家が小さくてトイレまで近いといいのですが、家が広くて部屋からトイレまでが遠いとポータブルトイレで排泄をしなくてはならなくなることもあります。
ポータブルトイレにした排泄物はどこかに捨てに行かなくてはなりません。
トイレに行けなくなった状況では当然自分で捨てに行くことはできませんので、ご家族や介護職の人にやってもらうことになります。
ご家族を含めた自分以外の人に排泄物を見られることに抵抗がある人も多いでしょう。そのため自宅に帰ることができなくなってしまう方もいらっしゃいます。
どのような自宅が理想的か?
そのため最後の自宅でおすすめするのは
具体的な間取りは1-2LDKでリビングからトイレが近い物件
が良いと思います。
ただマンションだとトイレや廊下が狭くなるため、トイレ動作に介助が必要になったり、車いす生活になったりすると不便を強いられる可能性があります。
それでも一軒家よりはコンパクトになって無駄のスペースが減り掃除などの手間も減り、何よりも同じ立地なら住居費も安く上がることが最大のメリットです。
もしまだ家を買っておらず最期は自宅と考えるならば平屋か狭めのマンションにすることが良いかと思いますし、大きな一戸建ての方もどなたかとの同居の予定がないならば住み替えを検討されることも考えてみてはいかがでしょうか?
途中どのようなところに住んでいても最後に自宅と考えるなら平屋・もしくはエレベータ付きのマンションに住めるように計画していくことをお勧めします。