医師の眼からみた老後の孤独対策
これまでのお話はこちらからどうぞ。
孤独にならないで最期まで自宅で暮らすには?という観点で書いています。
第1弾
第2弾
第3弾
第4弾
第5弾
第6弾
第7弾
第8弾
独身でいることのメリット
独身は不幸?
こんにちは。回復期リハビリ病院で働くノンです。これまでの記事ではこれでもか、というくらい家族・結婚に関する重要性を語ってきました。
「結婚しないと最期までうちで暮らせないのか。」
「孤独死まっしぐらだ」
「持てない俺を絶望させて何がそんなにうれしいのだ?」
そんな恨めしい声があちらこちらから聞こえてきそうです。
実際、孤独死のニュースが増えています。今後男性は4人に1人、女性は5人に1人は生涯独身になるといわれており不安に考えている方も多いかと思われます。
「やっぱり独身は不幸。結婚しておけばよかった。」
ちょっと待ってください。本当に独身は不幸でしょうか。よく考えてみるとメリットもたくさんありますよ。
すべて自分で決められる。
ここで一つ質問があります。
この質問について、たいていの人はこう答えます。
「治療はしなくてもいいから痛み・苦しみだけは取ってくれ。」
これは老若男女問いません。
では次の質問はどうでしょうか?
先ほどの質問の主語を「あなた」から「あなたの大事な人」にかえただけです。
こうするだけで途端に答えが変わります。
「一分一秒でも長くおふくろを生かしてくれ。」
「何とかして父を助けてください。」
「あの人にはどんな形でも長生きしてほしい。」
すべてとは言いませんがこのような声が増えてきます。
なんでこんなに変わるのでしょうね。
それはともかくとして、こういった声を聞いた医療関係者はどのように考えるでしょうか?
希望しない延命治療を避けられる?
医療者たるもの患者さんの意思を尊重するのが当然だと考えるかもしれません。しかし患者さんの意志を貫くにはいくつかハードルがあります。
1.まず家族を説得する
当然ですが意見の対立があるのでそれを解消しなくてはなりません。でも患者さんを大事にしている人にしてみれば必死です。そう簡単には納得しないし、いったん納得したとしてもあとで覆すこともあります。
2.時間制限
当然ですが医療者にとって患者さんは一人ではありませんし、外来、手術など他にもやることが目白押しです。つまり時間に制限があります。疲れもします。労力がかかります。
3.第三者の割り込み
医療者としてはこれが一番怖い。後になって聞いていなかった患者さんを大事にしている人が文句を言ってくる可能性があります。最悪訴訟にでもなれば①②とは比べ物にならないくらいのお金、労力、時間が奪われます。
こういったことから普通の医療者は患者さん本人よりも、患者さんを大事にしている人の意見を優先せざるをえません。
つまり家族がいる人は、希望しなくとも延命治療させられる可能性が高いです。
でも独身ならそんな心配はありません。
独身のメリットまだまだありますけど次回お話しします。