ママちゃんの自由帳

リハビリ専門医と言語聴覚士がより楽しい人生を送るために考えていることを綴ります

なぜ逆さまに滑りたいの?滑り台を頭から滑って楽しむ子どもが得ているものとは?平衡覚・前庭覚

 

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こんにちは、リハママです。

 

幼稚園の帰り道、子ども達は近くの大きな公園にスーッと吸い寄せられていき、どんぐりを拾ったり落ち葉に埋もれてみたり秋を満喫しています。

そして靴を脱いで走り回ったかと思えば、ついには靴下までサヨウナラ。

・・・寒くないのでしょうかね。

 

さて今日は子ども達に人気の遊具:滑り台について思うところを書いてみようと思います。

 

 

滑り台の遊び方って??

一般的には 

たいていは階段のところから登っていって、前を向いて座ってシューっと滑ってきますよね。

加えて集団で安全に遊ぶため

・一人ずつ登る・滑る

・並んで順番を守る

・滑り終わった子が退いてから次の子が滑る

なんてルールやマナーもだんだんと子ども達は身につけていきます。

 

こんな遊び方もしている

 でも、子ども達の様子を見ていると、

・滑るところを下から上に向かって逆走したり

・後ろ向きに滑ったり

・友達とだんごになって滑ったり

・寝そべって滑ったり

・手すりにぶら下がったり

色々な使い方をしている光景をよく目にします。

 

大抵は、近くにいる大人に叱られるのもセットです。 何せ、本当にヒヤヒヤする使い方をするのですから。

 

滑り台はなぜ楽しい?

 平衡感覚を使うよ

 でも、環境を整えて安全に配慮できれば、得るものの多い遊びなのですよ、滑り台って。

 以前、感覚についての話しをしました。

www.rehamom.com

 体の仕組みとして固有感覚や平衡感覚など、感覚の入力が充分に脳にまで伝わらないときに、補おうとしてより強い刺激を求めることがある(自己刺激)という話でもありました。

 

ここで出てきた平衡覚がキーワードになります。前庭覚とも言います。

平衡覚は体の傾きや回転、スピード(加速・減速)などを感じる役割を持っていたのでした。エレベーターに乗ったときに目を瞑っていても上下に動く感じが分かるのはこれのお陰です。

 

滑り台はまさに、高いところから低いところへ、加速を楽しむ遊びと言えましょう。

平衡覚の刺激が沢山入る遊びなのです。(もちろん、固有感覚も使っていますが)。

遊園地のジェットコースターに乗らなくても、スケートリンクに行かなくても、雪山でそりをしなくても、近くの公園に行けば一年中滑って遊べるあり難い遊具です。

 

姿勢を変えると刺激の量も調節できる

 しかも、姿勢を変えることで入力される刺激の程度を調節できるから、幅広い年齢の子ども達がそれぞれ求める刺激の量に応じて楽しめます。

 

例えばスケルトンみたいにうつ伏せで頭から滑っていくのは、普通に座って滑るときよりも多くの平衡覚の刺激が欲しい子。 手を前に出して、いざと言うときのためにちゃーんと備えていますね。

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そんなにいっぱいの刺激、こわいなぁ、って子は頭を上にして足からズルズル滑れば少な目の刺激量にもできます。

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ウォータースライダーやリュージュみたいに仰向けよりも、うつ伏せでお腹をくっつけている方が安心です。

手やつま先に力を入れて摩擦力も調節したりね。

 

滑り台の高さや、角度によっても刺激量は変わりますね。

 

この平衡覚は姿勢の調節とも切っても切れない関係にあるので、すぐに姿勢が崩れてくにゃくにゃしてしまう子などにも良い遊びですよ。

・姿勢が悪い→やる気が無い、怠けている→もっと厳しくしなきゃ

・姿勢が悪い→身体を支える筋力が足りない?→筋トレだ!

みたいに思われがちですが、遊びを通して平衡覚をたっぷり使うことで改善を図れる可能性だってありますよ。 

 

自然が豊かで天然のアスレチックみたいな場所は早々無く、身体を使う遊びが減っている今だからこそ、頭ごなしにやめさせるばかりではなく、できれば大人が環境を整えて安全に遊べるように見守ってあげられたらな、と思います。