こんにちはノンです。
前回の話の続きです。しつこいようですが僕は医師免許は持っているけれど、小児科にはまったく携わったことがない素人同然なんですが、もし参考になることがあれば試してみてください(このとおりにやってもうまくいかないことも多々あると思いますが文句言わないでくださいね)。
この度初めて子供を夜間急患センターに連れて行きました。
前回までのお話はこちらからご覧下さい。
Drノン流 看病術1
看病術2
看病術3
看病術4
看病術5
医師が夜中に子どもを救急センターに連れて行くとき
クループ発症
小児科受診して2日ほどたった夜のことです。薬が効いたのかこの2日間は時々せき込むくらいでした。薬もやったりやんなかったりして結構適当でした。今から考えるとこれもよくなかったのかもしれません。
突然上の子が
「息が吸えない」
と泣きながら飛び起きました。なんかオットセイが泣いているような、犬が吠えているようなそんな呼吸をしていました。一瞬にして顔から血の気が引きました。これは喘息発作の類ではない。命にかかわるものだと。
息を吸いにくいのは命にかかわる喉頭蓋炎かも
聴診器を使ったりして呼吸音を聞き分けるとき僕たちは音の異常もさることながら吸ったときの異常か吐いた時の異常かをとても重要視しています。
大きく分けて吸ったときの異常は首に近い気管の異常、吐いた時の異常は肺の末梢の気管支の異常を考えます。
で緊急性があるのはどちらでしょうか?そうです。首に近い気管の異常ですね。肺の末梢の気管支が一部がだめになってもほかにも肺の部分があるため苦しくても命にかかわる可能性は低いのですが首に近い気管がだめになってしまうと肺に全く空気がいかなくなるため命にかかわるのです。
息が吸えないと言ったら子ども救急電話などに相談せず一刻も早く救急外来受診を勧めます。
救急センターへ急ぐ
とりあえず朝までほうっておくとかなり危ないと思われたので救急センターに行くことにしました。ただ呼吸音はひどいですがチアノーゼのようなものはなく、咽頭痛はなく声はかすれていたものの話はできていたので喉頭蓋炎までにはなってないだろうと思い、救急車を呼ぶほどではないと考え呼ばずタクシーで行くことにしました(この辺りの判断に自信がない方はこの段階で救急車で行った方が無難です)。
まずタクシーに電話。うちの前まで来てもらうことにしました。自家用車で行くことも考えたのですが運転しているときに具合が悪くなってしまってはとても対応できないのでやめることにしました。
それからできるだけのことをしました。まずこの間クリニックでもらった貼付薬を貼り付けました。それからステロイド吸入薬を渡しましたがとても自力で吸える状況ではありませんでした。しょうがないので胸にベポラップを塗りました。
急いでタクシーに乗り込み行き先を告げました。
救急センターでのこと
救急センターは平日の午前3時ころだったこともあり待合室には誰もいませんでした。受付で保険証を出そうとするのですがなかなか見つかりません。財布のどこを探しても見つからないので青ざめてしましました。心配そうな顔をした受付のお姉さんがいいました。
「カバンの中も見てみてはどうでしょうか」
あわてて手提げかばんをひっくり返してみるとカランコロンと保険証がテーブルの上に転がり出ていました。
それから問診票を受け取り、症状を書いて看護師さんに渡しました。
「少々お待ちください」
待合室へ案内され数分待ったところで中にどうぞと案内されました。中にいたのは50半ばくらいの男の先生でした。
「どうしました」
(よかった。それほど不機嫌な声ではない)
僕も経験あるのですがこの時間に起こされることは医師だってつらいのです。僕が症状を話し終えると一通り診察して言いました。
「クループでしょう。喉頭蓋炎も合併しているかもしれない。早速治療しましょう」
それで吸入を始めました。薬が効いてきたのか徐々に症状はよくなってきて口数も多くなってきました。ここでようやくほっとできました。
吸入が終わった後再度診察。
「だいぶ良くなりましたね。帰る前にお薬飲んでください」
とピンクの飲み薬を渡されました。そこにはデカドロンと書いてありました。それを飲ませた後帰宅の途に就きました。
クループとは
喉頭気管気管支炎とも言います。気管とのどがウィルスに感染して息を吸うとオットセイの鳴き声とか犬の吠えるような音になります。特に夜間寝ているときに悪化します。発症年齢は3歳までといわれています。まれに呼吸困難に陥ることがあります。
クループ自体はうつるものではありませんが、原因となるウィルスにはうつる可能性があります。
喉頭蓋炎とは
のどの痛みと呼吸困難が主症状です。喉頭蓋は物を飲み込むときに気管の蓋の役割をして食事の時に食べ物が気管に入ることを防ぎます。ここに炎症が起こると急激に窒息する可能性があります。
今回はクループと喉頭蓋炎のどちらか、あるいは合併が考えられたのですが、両者を鑑別するのはそれほど簡単ではありません。いずれにしろ頸の近いところが狭くなるような病態は命にかかわるので息が吸うのが苦しいといったときは早いうちに病院を緊急受診した方がいいでしょう。